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南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

(2)すれ違い


半日ガイド体験記 (2004年6月の記録)

 ∬第2話 すれ違い

目加田さんは、ほぼ時間通りに我が家のベルを鳴らした。
もう何回目かの訪問になる彼女は、我が家の場所を完全に把握したようだった。
ふたりの娘も「メカタさ~ん、メカタさ~ん」とすぐになついてくる。

学校が休みとなる土曜、日曜の昼食は、大抵簡単なもので済ませる。
今日は中にズッキーニ、マッシュルーム、白チーズ、パセリを入れたボレキ(トルコ風のパイ)を焼いてあるので、それに合うようにとチャイ(トルコ風紅茶)を沸かした。
私たちはさっそく積もる話に花を咲かせた。

延々2時間以上オシャベリを続けながらも、私は時計が気になって仕方なかった。
そろそろグループがホテルに着く頃ではなかろうか。電話が入ったらすぐ飛び出していけるだろうか・・・。
夕食の準備のために、マーケットで買い物をする必要もある。目加田さんとも久し振りの再会だから、乾杯用にワイン、メイン用に魚も買いたい。
しかし、買い物に出掛けている間に、もし電話が入ったら・・・。

逡巡した挙句、観念して5時を回った頃、子供たちと共にマーケットに買い物に出掛けた。
目加田さんは一緒に下に降りると、その足で近所の美容室に向かった。
小一時間ほどして戻ると、留守番電話の赤ランプが点灯していた。
メッセージは何も入ってなかったが、背後に流れていたBGMの感じから、ホテルから横田さんが掛けてきたことが分かった。
ホテルのレセプションに電話し部屋に繋いでもらったが、応答はなかった。夕食までの間の散策にでも、お客様を連れ出しているに違いなかった。

ホテルには、その後も30分から1時間の間隔を置いて、3回ほど掛けてみただろうか。
仕方なく、レセプションからメッセージを部屋に届けてもらうよう頼むと、あとはひたすら横田さんからの連絡を待った。
待ちに待った彼女からの連絡が入ったのは、夜10時を回ってからであった。
今から行きましょうか、と尋ねると、気の毒に、彼女にはまだする仕事があるとのことだった。
アンタルヤは1泊だけで、翌朝8時15分にはパムッカレへ向かって発つという。
一般のツアーではあまり立ち寄らないアンタルヤをわざわざ組み込んでくれた彼女を、会わずに帰すわけにはいかない。
せめて朝食を一緒にと、朝7時過ぎにホテルで待ち合わせることにした。

子供たちもまだ起き出す前。もし眼を覚ましても、目加田さんが居てくれるなら大丈夫。
8時15分に見送った後、急いで戻れば9時までには帰り着ける。朝食だってそれから用意すればいいし。
なんというタイミング。まるで目加田さんが、このために来てくれたかのように思えた。

翌朝6時15分に目が覚めると、すぐにシャワーを浴びて支度を済ませた。
2日前、ホテルのレセプションにメッセージを残した後、町の中心で仕入れたお土産の袋もしっかり携えた。
なにかアンタルヤらしいものを、と考えあぐねた結果、他に良いアンタルヤ名物も思い浮かばず、茄子と橙の皮、青いちじくのジャムを3本箱に詰めてもらい、リボンをかけてもらったのだった。その他に、お客様がバスの中でつまめるように、干しイチジクを固めて上にナッツ類をトッピングしたお菓子?の詰め合わせも添えた。
日頃めったに乗ることのないタクシーに私は飛び乗ると、Tホテルへと急いだ。

 (つづく)

∬第3話 再会




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